現在時刻:19時39分

米国大資産家・ポールアレン氏によるオクトパス号での戦艦武蔵探索調査
http://musashi.paulallen.com/


本日午前10時よりネットにて中継放送された戦艦武蔵の深海調査。
最初は船体の側面っぽいところから始まり、球形艦首が見えたときは思わず「おおっ!」と声が出た。
その後そこから艦首上甲板に向けて移動していくが所々が大きく裂けていたり、ささくれていたりで損傷の度合いの強さを思い知らされる。実はこれはまだ序の口だったのだが・・・
そして左舷側アンカーレスが映った。先に公開された右舷側の主錨とは違い、こちらは沈没前に重量低減のため人為的に錨を切り離されてなくなっていたもの。それがハッキリと証明された。
そして艦首の菊のご紋章があった位置。後で説明があったが武蔵が沈没する際、左舷側に横転し、艦首側から沈没したため海底に激突した際の衝撃で外れたのではないかと。
オレは英語版を聞いていたので正確には和訳できないが・・・(苦笑)
その後はアンカーの鎖をたどって最上甲板を艦橋側へ。途中ボラードやケーブルホルダーが確認。その後、やや大きな箱型の物体が映った。たぶんだが艦内への採光のための天窓かも?と・・・
沈没から71年も過ぎているから当然堆積物もあるため窓の類は分からなかったが。
そして第一砲塔の砲塔が抜けたあとの巨大なリング状の穴。
撮影場所が変わって今度は艦橋上部へ。先に公開された第一艦橋と15メートル測距儀が映る。左舷側から見る限りでは測距儀はまともに残っているのか?と思ったら右舷側へ移動して映った画像では右側の測距儀が完全に折れて内部がむき出し状態だった。射撃指揮所と主砲測距所は無事残っていたが・・・
この映像は衝撃的だったな。
そこから艦橋へ。武蔵は戦闘中に急降下爆撃機の爆弾を艦橋の防空指揮所から食らい、防空指揮所、第一艦橋の床甲板を突き抜けて真下の作戦室のさらに下で炸裂、爆風が逆流して作戦室、第一艦橋にいた将兵を殺傷、そして防空指揮所も襲った。その際、艦長の猪口少将も負傷している。
武蔵の主砲は米艦載機の雷爆攻撃を受けて比較的早いときから主砲を統一射撃する15メートル測距儀の大元(根元?)である旋回盤がゆがみで故障しており、動かすことが出来なかったと記録されている。右側の測距儀の破損は艦橋命中の爆弾に因るものかも?
よって第一艦橋のスリットガラスがなくなっているのは理解できる。爆風で吹き飛ばされたんだろうな。しかし窓枠はしっかり残っている。そこはやはり鋼鉄だし・・・
その艦橋の側面に設置されている各種機器のうち、たぶん探照灯管制器かなと思われるものが2基。その下にはシールド付の25ミリ三連装機銃が原型をしっかり留めたまま残っている。艦橋下部に設置された機銃は大和では対空兵装強化時の改装された際、シールドなしのものに変わったが、武蔵は竣工時と同じくシールド付のままだったのね。これはオレにとって新発見かも?
艦橋には第一艦橋上部の防空指揮所前面に遮風装置が取り付けられていたが、それはしっかり残っていた。主砲や副砲を発射した際の爆風が直接艦橋全体に当たらないように爆風を逃がす整流板の役割があるものとオレなりに解釈している。
これを見たときも感動したなぁ、、、


基部を含む砲塔のようなものが傾き、砲身部分を含めて半分が泥に埋もれて見えなくなっているが、砲塔搭載の測距儀の位置・形からして瞬時にオレが思ったのが60口径15.5センチ3連装副砲塔と判断したものが映し出された。
測距儀のレンズカバー部分は外れているが、主砲には砲塔上部にまたがって測距儀は付いていないから間違いないと確信。案外きれいな形で残っていたのね。ここが大和型戦艦のウイークポイントと早くから言われていたもの。なにせ副砲塔の装甲厚は25ミリしかなく、爆弾でも主砲弾でも真上から直撃を食らえば容易に貫通し、弾薬庫までたどりつけられ、誘爆を起こすと考えられていた。幸い大和も武蔵も副砲塔そのものには直撃弾を食らっていない。
その副砲塔の真後ろにあるハッチが開いており、内部へライトが当てられ非常に明るく映し出された。旋回盤のようなハンドルとも座席のようなものとも受け止められる構造物が映る。


他にもさまざまな映像が映し出されたが、興味を持ったのが船の動力源であるメインの水管ボイラーと思われるもの。
船舶用水管ボイラーであるから物凄く大きいものであると思うし、大和型戦艦には12基のボイラー(罐)が搭載されていたが映し出された水管ボイラーはたぶん水圧か何かの影響で圧壊したものと思われた。しかしボイラーと分かる部分はしっかり残されている状態。




すべてを見終わってからはなんともいえない気持ちに包まれた。美しいのは撮影された画像であって、武蔵そのものではない。むしろ惨い姿だった。そんな船が1000メートル以上の深海に沈んでいる。後部はやはり折れているらしい。。。
武蔵と共に眠る約千人の英霊に黙祷。。。